小江戸川越の『まちかん』、日本刀の切れ味を売る包丁店

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埼玉県川越市には有名な刃物屋さんがいくつかあります。

そのうちの一つ、『まちかん』についてお話しします。

 

このまちかん、蔵の町の一角にありますが、この蔵の町の位置関係、重要度、現在の取り組みをぜひみなさんに知っていただきたいので、先ずは川越城あたりから説明をさせていただくことをお許しください。

 

 

小江戸川越、古来から街の中心は川越城でした。

 

川越城は1457年、太田道真、太田道灌親子によって築城された平山城で、江戸時代にあっては酒井忠勝・松平信綱(知恵伊豆)や柳沢吉保など江戸幕府の要職にあった方々が城主を務め、『老中の城』と言われていました。

 

川越城の建物は今では、本丸御殿くらいしか残っていません。

これは川越城の表玄関にあたります。

 

ここから西側に現在の市役所のあたりまで川越城の敷地が広がっていたと言います。

その市役所側のさらに西に行った角に高札場が設けられ、『札の辻』と呼ばれました。

今は交差点の名前として残っていますが、この札の辻を起点として川越の町割りが行われたようです。

その札の辻の交差点を抜ける一番街の通りに『蔵の町』として有名な一画が広がっています。

蔵の町の包丁店

この一番街は昔から川越の町の中心部であり、今でも観光のセンターです。

ここでは埼玉県では珍しく、非常に意欲的な取り組みがなされました。

 

 

実は私は高校時代まで川越に住んでいて、毎年10月に行われる川越祭りでは山車を引いていました。

ですのでこの辺りのことはチョット詳しいです。

 

実は上記の意欲的な取り組みというのはこの川越祭りでの騒ぎが原因で問題が提起され、実施された施策なのです。

川越まつり3

山車にはお囃子連が乗り込み、象徴である人形を高く掲げて町を練り歩きます。

 

山車の運行には二つの大きな問題があります。

 

一つは方向転換。

引き手は山車の正面から長く伸びた綱を引くのですが、この綱が数十メートルの長さがあるうえに、山車自体には方向転換のためのハンドルなどありませんから、細い十字路を曲がったりするのは大変な作業なのです。

大きな戦艦が曲がりくねった細い川を運行するようなものなのです。

 

もう一つの大きな問題は電線回避。

山車は横に曲がるときに苦労するだけではなく、天に張り巡らされた電線にも注意を払わなくてはなりません。

山車の上には御本尊である人形が立ち上がっていますから、これが電線に引っかからないか、常に注意を払っていなくてはなりません。

 

移動中は長い竿で電線を持ち上げたり、人形を下げたりして電線に引っかからないように注意し、その最中も他の町の山車にかち合えば、お囃子合戦をしなければならなかったりと、実に忙しい。

実際に祭りの最中に電線を切ってしまった事例はたくさんあったようです。

 

そこで行われたのが電線の地中埋設化

そう、意欲的な取り組みとはこのことなのです。

 

現在はまだ一番街の蔵の街でしか電線の埋設化は実施されていません。

しかし実に景観に与える影響が大きいですね。

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かつて狭い道をさらに狭くしていた電柱と空を覆っていた電線が無くなることにより、街全体が開放的になり、昔ながらの蔵の町が再現されたように思います。

 

話しを元に戻しましょう。

 

この一番街の蔵の街に有名な宮岡刃物店(まちかん)があります。

 

蔵造りの重々しい建物の店先には刃物がズラリと展示されています。

左側には包丁類が展示ケースの中に収められており、その中には日本刀が数本展示されています。

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店内右側にはナイフ類。

ナイフのほとんどは海外を含めた他メーカーの刃物類であり、一応置いています感が強いですね。

 

中央のガラスケースの中にも各種包丁・鋏があり、ナイフ以外はすべてまちかん製とのことです。

 

此ノ店、屋号ヲ町家ト称シ、主人ヲ勘右衛門トイフ。抑抑、明暦ノ頃ヨリ代々酒造業タリシガ、天保十四年、七代目町家正兵衛ニ至リテ祖業ヲ廃シ、刃物店ヲ開業ス。

 

お店でいただいた古い資料の写しには上のように書かれていました。

もともと酒造業だったものが、刃物屋に転業したわけです。

 

大変に申し訳ありませんが、川越の酒が美味いという話しは聞いたためしがありません。

流通網が発展した江戸期にあっては有名な酒処からお酒を運ぶことも可能だったでしょう、川越での酒造業廃業もやむなしといった状況だったと考えられます。

 

刃物屋への転業が天保十四年すなわち西暦1843年、そろそろ転業180年。

創業から計算したら200年くらいは超えるかもしれませんね。

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さて包丁の切れ味は?

中央棚の奥には砥石が置かれていて、店主が静かに包丁を研いでいます。

「いつ話しかけてくれるのかな?」

はい、どうやらこちらから話しかけない限り、放って置かれそうなので、思い切って質問をしてみました。

 

「この包丁、錆びやすいですか?」

 

刃の表面にワヤワヤと模様の入った包丁を指差しながら聞きました。

しかし我ながら、素人臭い質問。

 

店主曰く、

「ベースは安来鋼(やすきはがね)なんですが、モリブデン(確かそのようにおっしゃっていた、と思う…)を多く含ませているので錆びづらいです。」

試しに切ってみますか?

 

おー、それそれ!

切ってみたい。

 

カウンターの上には大根があります。

 

「滑らせるように手前に引きながら切ってみてください。包丁の重さだけで切れますよ。ですから手の力で押し切ろうとする必要はありません。」

との店主のアドバイス。

 

 

試し切り用の三徳包丁を恐る恐る握り、大根の上に刃を乗せ、スーッと引いてみる。

抵抗なく、刃が下に落ちていく。

やがてまな板の表面いコトリと刃が当たる。

 

 

吸い込まれるように刃が落ちていく感覚は初めてのもので、店主はこれが日本刀の切れ味だと言います。

力の無い女性ほど重たい包丁を使うべし、というのが店主の主張でした。

すなわち切れ味が良ければ包丁の重さを利用して材料を切るとことができるのでかえって楽なのだということなのですね。

価格

家庭用に三徳包丁、ペティーナイフ、菜切包丁を買うのであれば、2万円台から3万円台と言ったところでしょう。

研ぎ直しは一回2000円、半年に一回程度で十分とのことでした。

 

研ぎ直しの包丁を常に400本程度抱えているので、研ぎ直しに数ヶ月は待たなければいけないかもしれません。

そう考えると、2本くらい購入して、交互に使い続けるというのが良いのでしょう。

店舗情報

場所
埼玉県川越市幸町7−3

電話
049−222−1516

定休日
水曜日

営業時間
10:00−17:00

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